2017年5月19日金曜日

『VOGUE』の「タイをスキップしてミャンマーに行く8つの理由」についての反論

モード雑誌の頂点に立つ『VOGUE』に、「タイをスキップしてミャンマーに行く8つの理由」という記事が掲載されました。
あの『VOGUE』に、お勧めの旅行先として紹介されるとは、ミャンマーもメジャーな国になったものです。
記事を読んでみたら、まだ、あまり知られておらず、行った人も少ない場所へ、先物買い的に行ったらトレンドを先取りできるかも的な雰囲気を感じました。
まあ、ファッション雑誌だから仕方ないし、細かい瑕疵を言い立てるのも大人げないと思い読み流したのですが、ミャンマー在住外国人の中には許せない人もいたようで、掲載の数日後の昨日に、ガッツリ反論した記事がWebに上がってました(笑)。

ネタとして笑えるので、こちらの反論記事を和訳して、掲載します。

論旨がわかりやすいように、この反論の元となる「タイをスキップしてミャンマーに行く8つの理由(8 Reasons to Skip Thailand and Head to Myanmar Instead)」の概要を以下に記します。

1. 素晴らしい料理
タイ料理ほど有名ではないけれど、ミャンマー料理も素晴らしい。ヘルシー、美味、新鮮、地域で育った家畜、獲れたての魚。ミャンマー料理は、産地から直接人々の元へ届いている。そこに住む人々は、地域に根ざした食生活を送っていて、食材を無駄にしたりしない。

2. あまり観光化されていない歴史的な遺跡
バガンには歴史的な価値のあるパゴダがたくさん。

3. 観光客が少ない
タイは年間3000万人以上の観光客が来る。ミャンマーは500万人以下。あまり英語を話す他の旅行者を見かけない。

4. スリル満点の冒険
山登りとかカヤックとかトレッキングとかを、まだ観光客が少ない場所で楽しめる。

5. 安い
バンコクの3つ星ホテルは110ドル、同等のホテルがヤンゴンでは60~70ドル。

6. 川と村
イラワジ川などでクルージングやボートを利用すれば、川沿いの風景や人々の生活を見ることができる。河イルカも見れるかも。

7. 人がフレンドリー
観光化された地域と違い、打算抜きの笑顔、ホスピタリティ、優しさ、思いやりに出会える。

8. 素晴らしい風景
ヒマラヤ山脈、黄金のパゴダ、インレー湖など雄大な景観に満ちている。

次に、本編として、上記の『VOGUE』の掲載記事に対するミャンマー在住外国人の反論の全訳を以下に記します。

ヴォーグのミャンマー旅行のアドバイスがゴミで差別的である6つの理由(6 reasons Vogue’s advice on Myanmar is dumb and racist)」By Jacob Goldberg

なんかヴォーグのクレアと名付けられた女が、「タイをスキップしてミャンマーに行く8つの理由」という記事を先週あげていた。これがお気楽なレイシズムと、いい加減な記述に満ちていて、昔の帝国主義的社会の悪弊と、連中が途上国をどんな風に見てるかの見本になっている。

僕らも、君たちがミャンマーに来るべきなのは同意する。いいところだよ。だけど、できるなら、タイも同時に行くべきだよね。誰が一つしか行っちゃいけないって決めたの? でも、君が事実に基づいていて、差別主義的でない、ミャンマーを楽しむためのアドバイスが欲しいのなら、クレア以外の誰かに聞いた方がいいと思うよ。

以下に理由を書くね。

1. 無神経な植民地主義
クレアは、ミャンマーを「未発見」で「秘密」で「未踏」で「手付かず」、と表現している。
実際は、ミャンマーの存在は、ここに住んでる人たちや、地図を見たことがある人にとって秘密なんかじゃない。でも、クレアは、ミャンマーの存在を他の人たちへ紹介した栄誉にあずかろうとしている。

これはコロンブス化(植民地主義)のテキスト ー 元々あるものを発見することについて述べている。この行為は多くの場合、君の属するコミュニティの立場から、君の「発見」を伝えるという形をとる。

ミャンマーを発見したという言い方が吐き気をもよおすのは、クレアがヨーロッパ語圏の人たちの興味を惹くかもと考えるまで、ミャンマーも、そこに住む人々も、その文化も、どうでもいいってことになるからだ。

おめでとう、クレア。僕らは君に続いて、未発見の大陸に名前を付けているよ。

2. 差別以上に無自覚
クレアは、ミャンマー料理の魅力を、読者にこんな美辞麗句で伝えようとしている。「ローカルの人びとは大地に根差した生活を送っていて、手に入るものすべてを料理に使うようにしている。決して食材を無駄にしたりしない。シャンヌードルは試してみるべき」。

この文章は、ミャンマー国民全員について当て嵌まるものじゃない。都市と地方では環境が違うし、食事に要する手順も楽しみ方もたくさんある。だけど、ミャンマーには医者も教師も住んでいて、ビニール袋を使ったり、KFCが大好きだったりすることを書くのは、エキゾチックじゃないのだろう。

彼女のミャンマーの人びとを誤った一般化によって褒めそやすやり方は、いくつかの文献で使われている「高貴なる野蛮人」の考え方と一致している。自分たちの文化圏外にいる人びとを、文明によって「堕落していない」と決めつけるやり方だ。たしかに耳障りはいい、でも危険だ。

19世紀には、このアイディアは、ヨーロッパの帝国主義を「科学的に」正当化するために使われた。
クレアが、こんなやり方でヴォーグの読者にミャンマーに行くことを勧めているのは、単なる悪意よりもタチが悪いように見える。

3. ものすごくいい加減で不正確
クレアはバガンの寺院群を「比較的手付かずの歴史的遺跡」と紹介している。うーん、クレア。バガンはすごく手を入れられていて、1996年にユネスコの世界遺産登録を却下されたんだけど。

エレファント・パンツから頭を出して、将軍たちが、数十年間にわたって、人権侵害の他にも、考古学的な根拠のない修復に携わってきた ー 今になって少しづつ改善されてきている ー ことも学んだほうがいいんじゃない。

それに、シェダゴンパゴダが「2500年の歴史」があるというのは、ブッダの八本の遺髪が光を放ち、地震を引き起こし、盲人を回復させたという、建立に関する神話上のお話だよ。現実的には、歴史学者は最初期のパゴダが6世紀から10世紀の間に建てられたと言っている。見ての通り、パゴダは今も建て増しが行われているわけだし。

そして、クレアはインレー湖をミャンマーで一番大きな湖と言っている。勘弁してくれよ、クレア。

4. 記述の不一致
クレアは「もっと発見されてないのは(ムカつく)、Hp-Pan and Hpa-Anを含むミャンマーの南地方」と書いている。
ワウ、クレア。本当に二つともあるなら、行ってみたいよ。

5. 金額的な誤り
クレアは、ヤンゴンはバンコクよりも安くつくと考えている。ここへ着くまでを安くすることは、考えなくてもいい。ヴォーグの読者は、ヤンゴンに来る時は、バンコクか他のハブとなる場所へいったん立ち寄るはずだから(訳注:アメリカ・ヨーロッパからヤンゴンへの直行便はない)。

それは置いておいて、ミャンマーへ来た人たちの根強い世評は、思ったより高くつくというものだ。

でもクレアはホテル代について、「バンコクの三ツ星ホテルは、だいたい110ドル以上かかるけど、ヤンゴンの同レベルのホテルは60~70ドル」とホテルについて書いている。

オーケー、たぶんバンコクのいくつかの三ツ星ホテルより安い三ツ星ホテルがヤンゴンにあるんだろう。でも、アゴダでちょっと検索してみると、バンコクで一番安い三ツ星ホテルは、ヤンゴンのそれの半額だった。

また、僕たちは、生活コスト比較サイトを探して、見てみたらバンコクで暮らすのは、ヤンゴンよりも19%安くついていた。

6. 見逃されている点
タウンジーの熱気球祭りを推薦してくれて、ありがとう、クレア。あれは、ミャンマーで一番クールなイベントの一つだもの。でも、どうして「澄んだ夜空の中を熱気球が象り、浮かんだ姿を連ねる」なんて書かなきゃいけなかったの?

クレア!本当に行ったことがあるの? 祭りのクライマックスは、気球から放たれた花火が文字通り夜空を汚すところなんだけど。

いや、君は花火については書きたくなかったのかもしれない。ましてや、それで死人が出たことなんて。
だって、君はミャンマーが本当はどんなところなんて興味がないんだから。君はただ、ミャンマーが発展してなくて、観光化されてないタイって読者に思わせたいだけだから。

でも、ミャンマーは、それだけの場所じゃないんだよ、クレア。

(男目線で偉そうでゴメン)

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