2025年12月11日木曜日

ミャンマーのミャワディがクライム・ノベルの舞台になっていた

ミャンマーを離れて5年経ち、現地での日々が遠い記憶と化してきている今日この頃です。
そんな中、最近読んだ本、橘玲著『HACK』に登場する場所のひとつがミャンマーだったので、ご紹介します。
登場する場所は、タイのメーソットと川を挟んだ対岸にある国境の村ミャワディで、私は行ったことがありません。 この地域は、かつて中国人マフィアのオンライン詐欺の拠点として、関係者と拉致されて詐欺の実行を強要された人々が多数在住し、高級レストラン、カジノ、売春宿などを備える鉄条網に囲まれた一帯がありました。この一画に北朝鮮のハッキング組織ラザルスが詐取した莫大なビットコインを記録したデータセンターが存在するという設定です。 

主人公はバンコク在住の日本人青年・樹生です。彼は、仮想通貨の取引で得た利益で生活に不自由はなく、大麻やオンライン・ゲームに浸る無為な日々を送っています。バンコク在住の外国人の行動にかなりページが割かれ、バンコクのマリファナ市場や販売店での吸引の様子などが描写されます。トンロー、プロンポン、アソークなど馴染みのある地名も多数登場します。ミャンマー在住時は、ビザランでバンコクには、20回は行っていたので懐かしさを覚えました。
主人公が、カオサンへの行き来に水上ボートを利用する描写など、同じ移動手段を使っていたので既視感があります。
バンコクにいがちな、ドラッグと買春に溺れて、金は尽きたものの、バンコクで暮らしが長くなり、もう故国に帰る場所もない、日本人の沈没男も登場します。
樹生は、ハッキング技術とハッカーコミュニティでの人脈を見込まれて、日本の公安から北朝鮮のデータセンタからビットコインのデータを奪取することを依頼されます。北朝鮮のハッキング組織ラザルスは、日本のビットコイン取引所をハッキングし、ビットコインを盗んでいたからです。様々な手法を駆使して、データセンタの場所(ミャンマーのミャワディ)を特定し、サーバへの侵入方法を探索するのが本書の読みどころです。スパイウェアの使い方、サーバーのセキュリティの突破の方法、マネーロンダリングの手法等、知らない情報がたくさんありました。
著者は金融、世界情勢、IT・AIテクノロジーなどの分野で活躍するライターで、専業作家ではないため、取ってつけたような恋愛パートや、会話がぎくちなく、説明的なところは、少々厳しさを感じます。
最新のハッキング手法や仮想通貨を利用したマネーロンダリングの方法、バンコクの裏観光情報などに関心がある方にはおすすめです。

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