2019年7月27日土曜日

【YANGON CALLING】ミャンマー産の生地を使ったバックを作りました

これまでミャンマーの生地を使った衣類を中心に企画・販売してきましたが、客層が多様なため、人によって体型が全く異なります。
日本人を含むアジア人は概して小柄なのですが、ミャンマー人のビルマ系富裕層は大柄で170㎝を超える女性も珍しくありません。対して、同じ富裕層でも中国系ミャンマー人は小柄で細身の人が多い。
欧米人だとアングロサクソン・ゲルマン系は概して大柄、ラテン系は細身の人もいれば、そうでない人もいる、東欧系は比較的小柄で細身の人が多い。
こうなると、イベントなどに出店した時に、お客様の気に入った商品があっても、合うサイズがないケースがままありました。

やっぱり服以外のサイズを選ばない雑貨類も充実させる必要性を感じて、バック類を商品ラインナップに加えました。

ひとつは、ラカイン産のロンジー生地を使ったショルダーバッグです。
ラカイン産の生地は厚手なので、バックなどの耐久性が必要な商品に向いています。
裏地付きで、中には内ポケットがあります。
たくさんものが収納できる大きさなので、スポーツバックなどにも使えます。



もう一つは、ロンジー用のポリエステル生地を使ったトートバッグです。
こちらも同色の裏地付きで、中に内ポケットを配しています。
東南アジア的なポップな色使いが楽しいです。
ビーチバックやエコバッグ向きではないでしょうか。



ジッパーで開閉する仕様なので、雨の日も安心

サイズや価格は、下記のYANGON CALLINGのオンラインショップのサイトでご確認できます。
https://www.ygncalling.com/shop

ミャンマーの素材を使ったモノ作り
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2019年7月24日水曜日

先週のゴールデンヴァレーのシティマートの出店の結果について考えた

先週の火曜日から金曜日まで、ゴールデンヴァレーのシティマート内にポップアップショップを出店しました。
過去、ここに出店した時は、そこそこ売り上げが好調だったので、今回も期待していたわけですが、結果はそれほどでもありませんでした。出店料を考えると、収支トントンといったところでした。
ゴールデンヴァレーは、ミャンマー人富裕層の多くが住む高級住宅地です。そのため、ヤンゴン市内に多数の店舗を構えるシティマートの中でも、ゴールデンヴァレー店の客層は、可処分所得の高いミャンマー人が目立ちます。
今回の日程は、週末には被っていませんでしたが、火曜日はワソー満月、金曜日は殉難者の日の二日の休日を含んでいました。そのため、来客数も多いのではないかと見込んでいました。
しかし、イベント開催期間中の店舗への来客数自体が少なく、当てにしていた富裕層はほとんどいない状況でした。
また、ミャンマー人富裕層と並ぶ、私のブランドの主要顧客である欧米人の姿も非常に少なかったです。
こうなると当然売り上げが厳しくなります。
ターゲットとなる客層の来客数が少なかった理由を考えてみました。
どうもこの期間そうした階層に属する人々の多くは、一、二週間の休暇を取って海外に行っていたようです。フェースブックをチェックすると、ミャンマー人富裕層はアメリカ西海岸やトルコのカッパドキアに観光に行っているし、ヨーロッパ人は南フランスや南イタリアのビーチで寛いでいます。
こっちは、ヤンゴンのシティマートに一日12時間張り付いているのに優雅なことです。自分で選んだ道なので、文句は言えませんが。

今回の出店では、期待した売上には達しませんでしたが、ミャンマー人富裕層と欧米人が少なかったことで、別の傾向を見て取ることができました。
今回は、売り上げの九割程度が、中国系ミャンマー人でした。富裕層とまではいかないが、ミャンマーの中では教育程度が高く、近年ミャンマーに進出した外資系企業に勤務していると思しき若い人たちです。彼女らの給与水準は、おそらく700USDから1000USD程度ではないかと推測します。
こうした中産階級がミャンマーからも現れはじめているのが、体感として実感できました。
中国系は子供に教育投資を惜しまないのと、東北アジア人の気質として、東南アジア人よりも、勤勉で蓄財に励む傾向が強いので、多くの東南アジア諸国でも社会の上位層を占めています。もともと移民としてやってきた人々ですが、二世、三世と世代が進むにつれ経済的な成功を収める人たちが多いです。タイでは、その傾向が特に顕著ですが、ミャンマーも民主化で国が開かれたことで、外資系企業の進出が進み、大卒者の就業機会が増えたことで、こうした流れが生まれていることが確認できました。

そういえば、以前にシティマート・ゴールデンヴァレー店に出店した時に、買ってくれた中国系ミャンマー人の現代美術家Sさんは、今年の4月に短期の創作活動の予定で行ったシアトルにそのまま住み続けることを決意したようです。彼女はミャンマーのアート界で、気鋭の現代美術家として注目されていましたが、もっと大きな舞台で活動するためにアメリカに根を下ろすことにしたようです。フェースブックに、家賃が高いから大変とか、生活費を賄うために就職活動しているとか、なんとか就労ビザが取れたとかと書いてましたが、ガッツがあるなあと思います。もともとアメリカの美大に行っていたので、初めて行った土地ではないにしても、価値観や文化が全く違う場所で勝負するのは勇気が要ります。アメリカの現代美術界にミャンマー人のコミュニティなんかないでしょうし、ミャンマー人であることが有利な分野でもないですし。

ビルマ系の富裕層の子女の多くが、欧米の大学に行っても、行った先でミャンマーの富裕層出身だからといっても誰もチヤホヤしてくれないので、卒業後はすぐに帰国して、同じ階層の子女同士で群れて、そのコミュニティ内で仲間褒めしあっているのとは対照的です。彼らは、自分の真価が共同体の外部の評価基準に晒されたり、ミャンマー・レベルより高いインターナショナルな土俵で勝負することを避ける傾向が強いです(ただし、ビルマ系富裕層でも外部の世界で勝負している人は、割合は少ないですが存在します)。
今のところ、中国系ミャンマー人で有名なのは、シティマート創業者やYOMAグループの経営者一族ですが、これから後に続く中国系の成功者が、他の東南アジア諸国同様に、アートや経済など様々な分野で台頭してくるのが予想されます。

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2019年7月10日水曜日

7月16日(火)~7月19日(金)ゴールデン・ヴァレーのシティマートに出店します

来週、7月16日(火)から7月19日(金)の4日間の間、ゴールデン・ヴァレーのシティマートで開催されるイベントProduct Of Myanmarに参加します。
ミャンマーのローカル物産メーカーが参加するポップアップ・ショップのイベントです。

このイベントは、ミャンマーで木工製品や革製品を製造・販売しているNatural Myanmarのオーナーのに主催により、ヤンゴン内のショッピングモールで不定期で開催されています。
彼女は、自分のビジネスの発展だけではなく、ミャンマーで活動している独立系中小メーカーの支援を真剣に考えている ミャンマー人には珍しい公共的な視野を持ったビジネスパーソンです。




7月16日(火)はワソー満月、7月19日(金)は殉難者の日の休日なので、ミャンマー在住の方にはお越しやすい日程です。
このエリアはミャンマーの富裕層が住むエリアで、過去のイベントでは、ミャンマー人顧客のリピーターができたこともあったので、この場所でイベントが開催されるときは出店することにしています。

お時間あれば、買物のついでにお立ち寄りください。

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2019年7月6日土曜日

バンコク・アート&カルチャー・センター2FのThailand Closetで商品取り扱いがはじまりました

私の運営しているブランドYANGON CALLINGの顧客は、七割が外国人(そのうち90%が欧米人、残り10%がASEAN)、二割がミャンマー人、一割が日本人という割合です。
ミャンマーに住む外国人が最大の顧客となっているわけですが、それなら隣国タイの首都バンコクの方が圧倒的に在住外国人が多く、マーケットが大きいため、ここ一年程バンコクでの販路をずっと探していました。ヤンゴンから地理的にも近く、渡航費も安いうえ、商品管理もしやすいので。
これまでタイのイベント・オーガナイザーなどに連絡を取ってきましたが、無視されたり、関心を持ってもらえず、あまり相手にされない状況が続いていました。
今回のタイでの滞在で、何とか置いてもらえるお店が見つかったので、ご紹介します。

お店は、バンコク・アート&カルチャー・センター(BACC)2Fにお店を構えるThailand Closetさんです。






ここは主にタイの独立系ブランドを扱うセレクトショップです。
なかなか他では見れないレアなタイブランドの服や雑貨を一望できる貴重なお店です。
オーナーのセレクションにより、東南アジア的なポップな色彩感覚と洗練されたデザインを兼ね備えた、選りすぐりの商品が展示されています。


オーナーの一人はアートなどのイベントにも関わる、中国系タイ人のKさん。
私がタイに行く一週間前にミャンマーに来ていたことをFacebook経由で偶然知って、こちらから連絡を取りました。

今回、置かせてもらえたのは、メンズロンジーの生地を使ったワンピースとメンズパンツ、メンズシャツです。
他ブランドでは、メンズの取り扱いをしていなかったため、置くことにしたのではないかと推測しています。
まずはバンコクでの認知度を高めたいので、お店にある他の商品の三分の一から二分の一の手に取りやすい価格設定にしています。レディースは1,300TBH、メンズは1,250TBHで販売しています。









立地もサイアムのMBKセンターの向かい、ナショナル・スタジアムの隣とアクセスのしやすい場所です。サイアムにお越しの際は、お店を覗いてみてはいかがでしょうか。見ているだけでも楽しいです。

Thailand Closet
バンコク・アート・アンド・カルチャー・センター[Bangko Art and Culture Centre)]2F


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2019年6月12日水曜日

ヤンゴンのおしゃれな家具屋PICCOLOのショールームに行ってきた

6、7年前にヤンゴンに住みはじめた時に、難儀したのは家具選びです。
その頃は、気に入ったデザインの家具を売っている店がほとんどありませんでした。

ローカル家具屋が集まっているタムウェイ・エリアに行くと、売っているのは、一様に重くて、デカくて、使いにくい家具ばかりでした。たとえば、テーブルは高さが低過ぎて、腰を屈めないと使えない、椅子は背もたれが後ろに傾き過ぎていて、そっくり返らないと座れないような代物でした。日常的に使っていたら、腰を痛めそうです。しかも、一様に黄土色のニスが塗られていて、他国の一般的な感覚では、美しいとは言い難い。素材は、質の高いチーク材を使っているのにもったいないなと思いました。
その時は、この国で自分の美意識や価値観を反映させたインテリアを作るのは難しいことを思い知りました。
そんな状況も、ここ数年でずいぶん変わりました。
ヤンゴンにも、PICCOLO、Yangon Green Furniture、NICCOといった、現代的なライフスタイルや嗜好に沿った家具屋が登場しています。
おそらく、いずれのブランドも創業されたのは3年くらい前です。
海外からミャンマーへの移住者や国外から帰国するミャンマー人が増え、そうした人たちの嗜好に応える家具ブランドとして、彼らは認知されています。

今回、はじめてPICOLLOのショールームに行ってきたので、ご紹介します。
Makers Marketなどのイベントで、時々、商品は見かけていましたが、ショールームが存在していたのは知りませんでした。
ここはイタリア人の夫婦によって、運営されています。
2か月前に現在の場所に、ショールームを移転したということです。
ここの家具は、シンプルで機能的なデザインとイタリア的なポップな色使いに特色があります。
ミャンマーには珍しく、コンパクトなサイズの家具も揃えているので、日本人向けでもあります。


ミャンマーでは珍しい、二人掛けのコンパクトなソファ

アームチェアもミャンマーの一般的な椅子のように、背もたれが不自然に後ろに反っていません



小さめの家具が充実しているのが、ここの特徴です

下記のオンラインショップで、商品の詳細は見れます。
PICCOLO design

Facebookページは、こちら

ショールームは、ちょっと分かりにくい裏道にあります。
行く前に、地図でよく確認しておいた良いかもしれません。私は迷いました。

個人宅での利用以外にも、レストランやカフェのデザインも手がけているということですので、お店やオフィスをこれから作る人は、トータル・デザインを依頼できると思います。

74, 2nd street, 11th ward, Yarza Thingyen, South Okkalapa T/S,Yangon
Tel: 09 265 444 066



ミャンマーのおしゃれな家具
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2019年6月5日水曜日

The Makers Market #6の売り上げが予想外に厳しかった

先週の日曜日に第六回目のローカル物産展のThe Makers Marketに出店しました。
雨期に入ってから、はじめてのThe Makers Marketです。
このイベントは、昨年の12月から月一回のペースで屋外のKaraweik Gardenで開催されています。
雨期入りする6月になればさすがに屋内の会場を借りるだろうと予想していましたが、何事もなかったように、いつも通りのKraweik Gardenが会場でした。
天候次第では、暴風雨で商品にダメージを受けるリスクがありましたが、毎回参加しているのと、ここ最近は、このイベントでの売り上げがライフラインとなっているので、リスクを覚悟して出店しました。

商品を展示した私のテント

主催者からは、雨対策しているから大丈夫とメールには書いてましたが、いざ会場に着くと、乾期の時と同じように屋根付きのテントを置いているだけでした。違いは飲食スペースにもテントを置いていたことだけです。
テントを透明なビニール・シートで囲んで、壁を作り、横殴りの雨が入ってこないように対策しているかなと5%くらい期待していましたが、そこは安定のミャンマー、何も考えていない。
幸い開催時間中には雨は降りませんでしたが、準備中の時は小雨で、隣り合わせのテントの境目から、屋根を伝って雨が内側に入ってきて、これでは商品を展示できないなと考えていました。
やはり雨で商品を損なわれるのを懸念してか、常連のCharlotte Barjouやlillaといったフランス人オーナーのファッション・ブランドは、今回は不参加でした。 






雨期に開催された野外イベントということもあってか、来場者もいつもより少なめでした。営業時間中は雨は降らなかったものの、午前中と午後の早い時間には、けっこう降っていたので、客足が遠のいたのではないでしょうか。
そして、今回ははじめての売り上げゼロという結果となりました。出店料、交通費もまかなえない、完全な赤字です。
うーん、厳しい。今は、このイベントでの売り上げがライフラインとなっているので。
雨期の期間中を乗り切るため、他の販路を考えないといけないです。

主催者には、雨期の間は屋内で開催して欲しいと伝えていますが、まだどうなるかは分かっていません、

これといった妙手はないので、とりあえずオンラインショップでの販売に力を入れようかと考えています。
ヤンゴン市内で無料でデリバリーしますので、気になる商品があればご注文ください。
試着してサイズが合わない場合は、返品可能です。

YANGON CALLING オンラインショップ:
https://www.ygncalling.com/shop

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2019年5月31日金曜日

ミャンマーでミッドセンチュリー風のワンピースを作ってみたら、歴史について思いを馳せてしまった

男性用ロンジー生地で、ミッドセンチュリーを代表するデザイナー アレキサンダー・ジラード風のテキスタイル・デザインを見つけたので、半年前くらいから、市場で見かけるたびにコツコツと買い集めていました。

アレキサンダー・ジラードは、イームズ夫妻やジョージ・ネルソンと並ぶ、ミッドセンチュリーのデザインを決定付けた、影響力と世評の高いデザイナーです。チャールズ・イームズとは、ハーマン・ミラー社で同僚でした。
ジラードの他の二者との違いは、テキスタイル・デザインに積極的に取り組んだこと、現代的・未来的なものだけではなく、フォークロア的なものにも目を向けたことがあげられます。



アレキサンダー・ジラードがハーマン・ミラー社のためにデザインしたテキスタイル


アートディテクションを手がけたブラニフ航空の機内用毛布

とりわけ評価が高いのは、1965年にブラニフ航空のリブランディングのためのアートディレクターを勤めた仕事です。彼はチケットのデザインから、空港の什器・家具、飛行機のカラーリングまで航空会社に関わるすべてを監修し、徹底したコーポレート・アイデンティティを創りあげました。
家具はイームズ、乗組員の制服はエミリオ・ブッチが採用されました。






この未来感は、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』と相通じるものがあります。調べてみたら『2001年宇宙の旅』は、1968年初公開なので、ブラニフ航空の方が3年早いです。1960年代中頃にこうした先鋭的なCIが実現していたのは、今となっては驚くべきことです。



ジラードやキューブリック(そしてイームズやネルソン)らの1960年代のデザインに見られる未来感(映画『2001年』は製作当時からすると未来が舞台でしたが)は、この時代の彼らにあるべき、あるいは期待されるべき未来像が確固として存在したからではないからではないでしょうか。
1970年代に入ると、環境問題や資源の枯渇等が前景化して、こうしたピカピカで希望に充ちた未来像は思い描きにくくなります。

70年代に科学技術による副作用が認知された後、長らくの間、酸性雨の降りしきる中で、都市に蝟集する人びとが陰気な顔で、ハイテクなガジェットを操作している(あるいは、うどんを啜っている)『ブレード・ランナー』的な未来像の方がリアリティを持ちえていました。

ただし、最近になって潮目が変わりつつあるのを感じます。
今年の5月15日に開業した、JFK空港に併設する話題のホテル TWAのデザインには、過去のブラニフ航空や『2001年』を参照していることが伺えます。







このホテルのデザインを見ると、かつて構想された、あるべき「輝かしい未来像」を丹念にトレースしているような印象を持ちます。
考えてみれば、人類の歴史は、過去の事績を足がかりにして、新たな価値を創造してきた、過去と未来を繋ぐ過程と言えるので、彼らが 1960年代に構想された「輝かしい未来像」を参照点にしたのは、自然なことかもしれません。

 たとえば、孔子は自分の同時代から500年遡る古代王朝 周の徳治をロールモデルとして、自らの思想体系を構築しました。

内田樹先生のブログに投稿した『時間感覚と知性』を以下に引用します。
仁者も預言者も、創造の現場には立ち会っていない。彼らは自らを「起源に遅れたもの」「世界の創造に遅れたもの」と措定する。そして、祖述者・預言者とし ておのれに先んじて存在した「かつて一度も現実になったことのない過去」を遡及的に基礎づけようとしたのである。白川静はこう書いている。
「孔子においては、作るという意識、創作者という意識はなかったのかも知れない。しかし創造という意識がはたらくとき、そこにはかえって真の創造がないと いう、逆説的な見方もありうる。(・・・)伝統は追体験によって個に内在するものとなるとき、はじめて伝統となる。そしてそれは、個のはたらきによって人 格化され、具体化され、『述べ』られる。述べられるものは、すでに創造なのである。しかし自らを創作者としなかった孔子は、すべてこれを周公に帰した。周 公は孔子自身によって作られた、その理想像である。」(『孔子伝』)
孔子における周公は預言者における「造物主」と構造的には同じものである。重要なのは「私は遅れて世界に到着した」という名乗りを通じて「遅れ」という概念を人々のうちに刻み付け、それを内面化させることだったからである。
14世紀のヨーロッパで興ったルネッサンスは、ヨーロッパ文化の起源として、ギリシヤ・ヘレニズム文明を掲げていましたが、こうした文明の成果は、中世のカソリック教会の価値観が支配する中で、ほぼロスト・テクノロジーと化していました。
ユークリッド幾何学、ヒポクラテスの医学、アリストテレスの哲学などギリシア・ヘレニズム文明が、再びヨーロッパにもたらされたのは、11世紀の十字軍のイスラム文化国家への遠征(正確を期して書くとほぼ略奪)により、アラビア語に翻訳されていたギリシア・ヘレニズム時代の文献が流入した結果です。

いずれも、想像上の過去の理想郷を起点に、新たな思想や文化の体系を立ち上げたことが共通しています。

TWAの1960年代の先取りされた理想の未来像を引用しながら現在に召還する、過去に構想された輝かしい未来を現実化する、「遅れてきた未来」を現在に立ち上げるという作業は、歴史の経緯を眺めてみると、極めて人間的な行為に思えてきます。

長らく現実感に乏しかった、1960年代中頃に構想された、明るく、輝かしい未来像が、今になって召還されているのはなぜでしょう。
個人的には、インターネットから派生した技術や事業によって、楽観的な未来を思い描くことが可能になったからではないかと推測しています。
自動運転が普及して、ネットで車をシェアリングできれば、車を所有する必要がなく、その分、浮いたお金を余暇や趣味に費やせる。定型的な(でも、面倒な)作業は、クラウドのシステムに任せて、コアな業務に集中できる(会計業務とか、すでにそうなってますね)。AIの発達によって、人間にとって魅力的ではない、単純作業から解放されて、そうした分野の人手不足も解消する。ブロックチェーン技術の普及により、属人性や個性を反映した商取引が可能になる(地獄の沙汰も金次第という時代が終わる)。
他にもたくさんあるでしょうが、先端技術が人間を幸せにする存在として信じられる時代が、再び巡ってきた感があります。もちろん、いつの時代もあったように、新しい技術の副作用もあるでしょうけど。

話がずいぶん逸れました。アレキサンダー・ジラード風の生地を見つけたので、それで作ったワンピースを紹介するつもりだったんですが。
ただ、半年前から、ジラード風の生地をヤンゴンの市場でコツコツ集めていたのは、こうした時代の気分と共振していたからかもしれません。 

今回は初回なので、ジラードがキーカラーとしてよく使っていたオレンジ色を基調とした生地を使いました。




未来感を出すために、コクーン形のシルエットになるデザインを採用しています。
価格・サイズなどの詳しい情報は、YANGON CALLINGのサイトでご覧になれます。
https://www.ygncalling.com/shop

明るい未来が信じられる時代が
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