2018年2月15日木曜日

村上春樹の最新作からミャンマーの変化について考えた

村上春樹の現時点での最新長編『騎士団長殺し』のミャンマー語訳が書店に並んでいました。
原著の日本語版は、「第1部 顕れるイデア編」と「第2部 遷ろうメタファー編」の二巻からなりますが、書店にあったのは一冊だったので、例によってダイジェスト版だろうと、最初は思いました。




だが、裏表紙を見るとイデアとか書いている。


中を開いてみると巻末に、第二部のメタファー編の刊行予告が。


今まで、村上春樹の複数巻の他の著作、『ノルウェイの森』も『ねじまき鳥クロニクル』も『海辺のカフカ』も、ミャンマー語訳はダイジェスト版の一冊であったことからすると、これは大きな変化です。
しかも、最新作の『騎士団長殺し』は未だ英訳が出版されていません。これまでは、概ね英訳版が出てから、おそらく重訳でミャンマー語訳が書店に並んでいました。これほど早いタイミングでミャンマー語訳が出たのは、ミャンマーでも村上春樹が人気作家として認知されている証かもしれません。

実は、エッセイ集の『村上ラヂオ』がミャンマーでロングセラーになっています。
去年の年末辺りから、書店でのベストセラー3位に位置していました。ミャンマーで日本人作家がランクインするのは、たぶんこれが初めてです。


約2ヶ月たった現在でも、 4位に残っています。



韓国、中国、台湾の東アジアで、90年代あたりから村上春樹の著作が広く読まれているのはよく知られています。
一般に後発の中進国の経済成長が進み、都市化が急速に進展した後、ホワイトカラーの中産階級層がそれまでの経済成長一辺倒の価値観に空虚さを感じ始める頃に、都市生活者の内省を描いた村上作品が爆発的に読まれ出すという傾向が指摘されています。
ミャンマーもその段階に入ったということでしょうか。まだ、それには早いという気もしますが。
 お隣のタイでも、正式に版権を取得したものかどうかは知りませんが、村上のほぼ全著作のタイ語訳が出ていますが、ブームになっているとか、よく読まれているという話は聞いたことがありません。
北米、ヨーロッパ、東アジアにおける村上作品の受容についてはよく論じられますが、東南アジアについては、どうなっているのかよく分からないので、この辺りの事情に詳しい方がいれば、お話聞きたいです。

ミャンマー人と村上春樹の作品について、
語り合えるようになると面白いと思ったらクリック!
  ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓  
にほんブログ村 海外生活ブログ ミャンマー情報へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿