2016年12月26日月曜日

おそらく経済的な意味でのフロンティアではないミャンマーが、フロンティアである理由 (1)

今年最後の投稿になると思うので、ここ一年考えていたことを出来るだけ体系的にまとまめて書くことにします。

1. たぶんミャンマーは、経済的な意味でのフロンティアではない

ミャンマーが「アジア最後のフロンティア」として俄然注目されたのが、2011年11月にクリントン米国務長官(当時)来麺以来だったので、これを書いているのが2016年の年末で、ちょうどまる5年ほどになります。
この5年の間に、外国人の個人投資家や様々な国の外資系企業がミャンマーに参入しましたが、経済的な意味でのフロンティアとしての期待に見合う成果が上がった例は寡聞にして知りません。
キリンビバレッジ、カールズバーグ、ハイネケン等のビール会社やアサヒ飲料、コカコーラ等の清涼飲料水メーカー、エースコック、ネスレ等のインスタンス食品メーカーなどの消費材メーカーによる進出・投資が目立ちますが、いずれも体力のあるコングロマリットもしくは大企業が、10年・20年先を見据えて投資したケースで、累積投資額の回収ができていないのは当然として、単年度黒字化を達成しているかどうかも分かりません。

日本の個人投資家や中小企業に関しては、4年程前に急増し、2年前くらいまでは見かけた、「アジア最後のフロンティア」という惹句につられてやって来た、射幸心に充ちた個人や社長をめっきり見かけなくなりました。尤もこの種の人たちは、経済的な側面にしか興味がないので、利益が上がらないと判断すると早々とミャンマーを去るため、ほぼ一年で同じ顔を見なくなるのですが。
ミャンマーの富裕層も、このような個人投資家や中小企業の社長がやって来なくなったため、新たなジョイン・ベンチャーの提携先や投資家が減ったことに焦っているように見えます。
海外の大企業の場合、コンプライアンスが重要となるため、合意に至るまでに、必要書類の作成やデーターの提示、そして契約書で提携内容や条件を明示する必要がありますが、海外で活動するごく一部のコングロマリットを除く、ミャンマー富裕層が所有するオーナー企業のほとんどが、そうしたペーパーワークや交渉には対応できないため、彼らは国外の提携先として中小企業を狙う傾向が強いです。しかし、その資金源や技術供与の相手として、彼らが期待していた層が、ミャンマーから関心を失いつつあるようです。

まあ、それは仕方ないし、ある意味当然かなと思います。
これだけ事業申請等の許認可が煩雑で、法律の運用が不透明で、電源・物流や一定の教育レベルの人材といったハード・ソフト両面のインフラが脆弱な上、ミャンマー側の事業者や政府決定が事由で損害を負った場合も司法判断による補償も実施されることがなければ、営利目的の個人や組織の足が遠のくも当然だと思います。
インパクトが大きかったのが、シンガポールの投資会社がいったん開発許可を得たヤンゴン市街地の大型プロジェクトが、その後シェダゴンパゴダの景観を損なうという理由で許可を取り消され、ミャンマー政府から代替地を提供するというアナウンスがあったものの、その後の経緯が不明となったケースです。この政府方針の転向による開発案件の中止で、投資側は数十億から数百億円の損失を被ったと思われます。海外からのミャンマー投資に対する潮目が変わったのは、この時期からだったような気がします。

ミャンマーで活動して安定した利益を上げている日本の個人事業者や日系企業もありますが、その多くがミャンマーに進出する日系企業へのサポート(法務・財務・コンサルティング等)を業務としているか、ODA等の日本の税金を財源としたプロジェクトの受注で利益を上げることを目的としています。いずれにせよ、日本の企業や日本の公的資金を対象とした事業で、ミャンマーの国内市場そのものを対象とした事業ではありません。
日経ビジネス・オンラインや東洋ビジネス・オンラインで、ここ数年の間ミャンマー特集が始まったことが何度かありましたが、ほとんどの場合、連載が途中で終わってしまうのは、誌面に紹介できる成功例が少ないからだと推測されます。顧客が日系企業や日本人がメインの事業だと、ミャンマーに進出した成功事例の紹介としてニュース・バリューが今ひとつなので、扱いにくいのでしょう。

長くなったので、続きは明日以降に書きます。
章立ては以下の通りです。年内完成を目指します。

2. ミャンマーが経済的なフロンティアではないのは、ミャンマー国内の問題以外の要因も大きい
3. 経済的フロンティアではないミャンマーは何のフロンティアなのか?〜それでもミャンマーに来る理由

続きが読みたかったらクリック!
  ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓  
にほんブログ村 海外生活ブログ ミャンマー情報へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿