2013年8月6日火曜日

【Myanmar News】ミャンマーのソーシャルビジネス

今回は、ミャンマーのソーシャルビジネスの記事をご紹介します。
NGOの活動はいくつか聞いたことがありますが、ミャンマーにもソーシャルビジネスの起業家が活動しているのは、知りませんでした。
ご存知のように、NGOは寄付や支援金が集まらないと、活動が立ち行かなる場合があります。社会的な問題を解決するために、運営しているのはNGOもソーシャルビジネスも同様です。ただ、ソーシャルビジネスの場合、利益が出るシステムを作り、それを活動資金として再投資するので、その点で組織としての持続性が高いと言えます。
といっても、安定的に利益を上げるシステムを構築するのが、難しいところなんでしょうけど。
ミャンマーには、貧困、教育機会の問題、就業の困難さ等、解決が望まれる問題には事欠きませんので、 こうしたNGO、ソーシャルビジネスを問わず、問題解決のために活動する組織の存在価値は大きいですね。
この手のニュースを読むと、精力的に活動しているのは外国人の場合が多いです。願わくば裕福なミャンマー人もこの種の活動や支援に力を入れるようになって欲しいですね。パゴタや僧院への喜捨を求めるパレードはよく見かけますが、もうパゴダ十分過ぎるほど立ってるし、お坊さんの数も生産人口比で見ると世界一の可能性があるわけだし。

『mizzima BUSINESS WEEKLY』31号 2013年8月1日号 より記事転載(原文は英文)

ベイカリーでソーシャルビジネスを
Text by Naomi Ng


挽きたてのコーヒーの香ばしいアロマの匂いが漂い、チョークで手書きしたキッシュやブラウニーといったメニューが目に入る。ヤンゴン・ベークハウスは、遠く故郷を離れた人達にとって、郷愁を呼び起こす場所かもしれない。
ランチアワーには、 いつものコーヒーやお気に入りのサンドイッチを求めてやって来る外国人達で賑わう。カウンターの奥では、オープンキッチンの中で女性ばかりのスタッフがパンの生地を練ったり、サラダの盛り付けをしたりと忙しく立ち働く。単に美味しいものを食べに来ているお客もいれば、ソーシャルビジネスの支援を目的に来ている人もいる。
ヤンゴン・ベークハウスはソーシャルビジネスとして、刑務所歴があったり、2008年に起こったサイクロン、ナルギスで家を失ったり、それが原因で生活が困窮したりした女性達に雇用とトーレーニングを提供している。
4人の共同経営者の一人である(残りのメンバーは外国人)Phyu Phyu Tinは、「私達は就学年齢にある人や、過去に災害遭った人に支援を限定していません。支援が必要な人は、みんな受け入れます。私達が求めるのは、彼女らのコミットメントだけです」と語る。
2012年11月に彼女らは、5人の研修生を受け入れ、衛生、調理、資産管理について10ヶ月のトレーニングを実施した。
36歳のNandaは、最初の研修生のグループの一人だった。彼女は、自分で商売を始めるには、資金的にも能力的にも難しいと思っていた。 彼女によれば、ヤンゴン・ベークハウスは、今まで思ってもみなかった恩恵をもたらしてくれた。
「毎月のお給料で、息子と娘を学校に行かせられます。今では、これから先どうすればいいのか見通しが立ちます。私は、キッチンにいることも、お客さんのために食事を作ることも好きですから」。
ヤンゴン・ベークハウスはカフェとしてスタートしたわけではない。最初はインターナショナル・スクールの教師へのランチのケータリング事業として始まった。今では、ヤンゴンのバゴン区にあるパール・コンドミニアムに、オープンキッチンのあるカフェを持つまでになった。それは、ニューヨーク発でもロンドン発でもない、健康志向のアッパー層向けのカフェといった趣だ。
事業は、彼女らの理念に賛同するサポーターと企業スポンサーのサポートのもと、順調に推移している。 しかし、Phyu Phyu Tinは、ミャンマーにソーシャルビジネスのアイディアを導入するには、立ちはだかる障害を乗り越える必要があると主張する。
「このお店を持つまで、私達がやっていることを理解してもらうのは大変でした。ミャンマーの会社は、私達がNGOなのかと聞いてきます。そうではなくて、私達は営利団体ですと答えると、じゃあ何で支援活動なんかやってるの?と聞かれたものです」。
彼女はさらに、持続可能なビジネスについて、それが同時に研修生に給与を支払い、トレーニングを施すことで、コミュニティを支えていることを説明しなければならなかった。
「私達は、NGOとは異なり、研修生に給与を払って、トレーニングをしています。彼女達には定期収入が必要です。もし、トレーニングが無料でも、収入がなければ、彼女達はやって来られません。だから、正当な対価を払っています」。こうした態度は、自らのウェッブサイトでは、「損失も、配当もないビジネス」と表現されている。
「加えて、私達の生活支援プログラムでは、それを接点としてサプライヤーと繋げることで、地球環境を破壊しない、環境への負荷が少ない計画を立てています。環境や健康に留意した安全な食材を生産している小規模な農家や栽培者を探し出し、私達の理念に賛同したサプライヤー同士を繋いでいます。私達はお店を、地域の社会起業家の活動の発表、NGOの活動、みんなが問題意識を持っていることについてのイベントなどを通じて、お客様同士を繋ぐ、コミュニティのための場所として利用しています。お店はミーティングや読書会で集まる場所にもなって欲しいです。将来は、ここで提供している料理や素晴しい料理を教えるクリエイティブな料理教室も開きたいですね」。
現在は、12人の研修生がトレーニングを受けて、社会に出る準備をしている。最初にトレーニングを受けているうちの4人は、もうすぐ料理人になったり、ヤンゴン・ベークハウスを支援しているホテルやレストランで飲食業に就職する。
4人の共同経営者は、ソーシャルビジネス事業を運営するために、マーケティング、レストランオーナー、NGO活動、別の地域でのソーシャルビジネスなど、バックグランドの異なる専門領域を互いに活用している。各人が専門性を持ったエキスパートだったことが、一年経たずにヤンゴン・ベークハウスを軌道に乗せることに役立った。Phyu Phyu Tinは、ビジネスではあるけれど、女性の支援にプライオリティがあることを強調する。
 「たしかにビジネスではあるけれど、女性が自らの人生をより良いものに変えられたと感じた時の満足感は、お金や利益とは比べものになりません」。そう言って、カウンターの奥で働く女性達を指し示した。
もうすぐ研修を終えるNandaは、「自分が何でもできるんだと、以前より自信がつきました。海外で学位を取って、プロの料理人になることが夢です」と語った。
ソーシャルビジネスは、まだミャンマーでは目新しいコンセプトだ。だが、ヤンゴン・ベークハウスが新鮮な食事を提供し、もっと多くの常連客のお腹を、上質なサンドイッチとキッシュとコーヒーで満たし続けるなら、このコミュニティはきっとより良い未来へ向かうためのチャンスを掴み取るだろう。   

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2 件のコメント:

  1. 素晴らしいですね。パールコンドには多くの知人が入居していますが、なぜだか近いようで遠い場所なんですよね。今度意識して行ってみようと思います。あそこにあるマッサージ屋も安くて快適と有名ですよね。

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  2. パールコンドのマッサージ店は行ったことないですが、外国人の入居者多いですよね。
    ソーシャルビジネスではなくて、NGOですが、日本人にもこんな素晴しい人がいます。
    http://logmi.jp/2614

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