2013年6月19日水曜日

【Myanmar News】ポエトリーとアートに彩られたヤンゴンの夜

ミャンマー(ヤンゴン)に住んでて、何がツライかと言えば、外国人でも気軽に楽しめる娯楽や文化施設がないことです。公営の美術館も図書館もなければ、世界的なレベルのエンターテイメントが定期的に開催されるコンサートホールも、この国には存在しません。個人的には、まっとうな本屋とジャズクラブがないのが一番きつい。
ローカルの人々の主な娯楽は、みんなで集まって飲み食いすることですが、この国のコミュニティに属していない大部分の外国人には、そうした集まりとは縁がありません。 それ以前に、ミャンマー語ができるのか、ローカル向けのコアなミャンマー料理を食べれるのか、という問題がありますが。
そうした状況の中でも、国外から帰って来たミャンマー人や外国からの駐在員の増加にともない、少しづつ文化的なコミュニティが立ち上がりつつあるようです。公営の美術館がないのを補って、個人経営のギャラリーなどが、アートの振興や新しいアーティストの紹介などの文化支援の機能を担っています。
今回はそうした、おそらく一部のミャンマー人と外国人にしか知られていないミャンマーのギャラリーの活動についての記事をご紹介します。

『Myanmar Times』682号 2013年6月17~23日号 より記事転載(原文は英文) 

ポエトリーとアートに彩られたヤンゴンの夜
Text By Manny Maung  

 Nawaday Art Galleryの地下に足を踏み入れた途端、会場内の激しい熱気に体を包まれる。最前列の客たちは、後からつめかけてきた客に押し込まれるのではないかと心配して、周囲を窺っている。オープンマイクの会場では、前方へ押し込まれたら最後、自分が出たい時に外へ出れなくなることがよくあるからだ。その夜が、会場の熱気に見合うだけの文化的な刺戟に満ちたものになるのか、あるいは混雑の中で、汗だくになりながら、退屈な詩の朗読を聴いて時間を浪費する羽目になるのかは、始まってみないとわからない。
その夜、つめかけた客たちは、どうやって会場の外へ出るかの心配はしなくとも済んだようだ。 ミャンマーのバイオリン奏者が最初にステージに上がり、2、3曲のニューオリンズ風のダンス音楽で会場を沸かせると、しばらくの間、拍手が鳴り止まなかった。続いて親子で結成されたバンドが、エリック・クラプトンとリチャード・マークスの曲をしっとりとしたアコースティックで演奏する。
夜を切り裂くようなポエトリー・リーディングでは、報われぬ愛について人に思いを巡らせ、マスータベーションと(報われた)愛についての奇妙だが機智に富んだ表現で、聴く者を魅了させた。その詩は、良識ある人の眉をしかめさせるタイプの表現かもしれないが、大胆かつクリエイティブで、自由であるという、その夜の雰囲気をよく表していた。
曲芸師がスーツケースの中から這い出て来るパフォーマンスは、私にとってこの夜のハイライトだった。
ほんの少し前まで、こんなイベントをミャンマーで開催するのは難しかったし、こうした変化に合わせて国外からミャンマーへ戻ってくる人もいる。創造的な表現がこの国から溢れ出してきたのは、本当に喜ばしいことだ。
Nawday Tharlarを運営するKo Pyay Wayは、人々が安全に、自分たちがやりたいことを表現する場を作りたくて、この夜のために場所を提供していると語った。
「ここは、みんなが自分の思いやアイディアや才能を分ち合う場所だ」と彼はe-mailに書いた。
彼は、アーティストたちの表現方法もずいぶん変わって来たと言う。
 「いまでは、彼らは自分たちの思うように表現し、創作することができる」と彼は現状についての意見を述べる。「彼らは何の懸念もなく、詩を書き、絵を描き、写真が撮れるようになった。そうして、多くの作品が発表されるようになった。中には物議を醸すようなものもあるが、2、3年前は、とても発表できなかったものだ」。Ko Pyay Wayは、ミャンマーの文学についても、若い世代が自分たちが書くこと、話すことへ対する情熱を保ち続けていると考えている。「若い世代が、文学に関する関心を失っているとは考えていない」と彼は語った。「古典的な作品への関心ではないだろうが、文学そのものに対する関心は強いはずだ」。
熱気で汗まみれになった私は、夢中のあまり、いつ終ったのかも気がつかないほどだった。心から楽しめたという気持ちと、ミャンマーで起こり始めた新しい表現の波をおこしている人たちのレベルへの畏敬の念が後に残された。

次のオープンマイク・セッションの日程は、まだ決まっていないため、Nawday Tharlarで直接聞くか、www.nawadaytharlargallery.comでご確認ください。

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