2018年6月3日日曜日

ミャンマーの音楽シーンが雑誌『ポパイ』に紹介されていた

先日、日本に一時帰国した近所の友人に頼んで日本語の本を何冊か買ってきてもらいました。その中の一冊に雑誌『ポパイ』がありました。
最新号の特集が「ぼくの好きな音楽」で、どんな音楽が紹介されているか興味があったのでお願いした次第です。
『ポパイ』は5年くらい前に誌面をリニューアルしてから、特集号の情報密度が圧倒的に高くなったので、気になるトピックの特集であれば、出来るだけ読むようにしています。


この特集号では、世界各地のポップミュージックを取り巻く状況が紹介されています。たとえば隣国のタイでは、東北部のイーサン地方のモーラムという伝統音楽が、クラブ・ミュージックとして世界中のDJから注目を集めているそうです。世界各地のコレクターや研究者から音源が掘り尽くされたため、バンコクではめぼしい盤が入手できなくなり、地方の骨董屋などでデッドストックを探す状況になっているとか。

そういえば、去年バンコクへ一時出国した時も、70年代のタイ・ファンクを扱った中古レコード屋をトンローの裏通りで見つけました。90年代の日本のポップミュージックの傾向のひとつとして、渋谷系と呼ばれる一群のバンドやグループが勃興し、「ハッピーエンド」などの先駆的な和物のロックを再評価する運動がおきましたが、タイの文化状況も、この時期の日本と同様のポストモダン的な段階に入っているのではないかと推測します。




バンコク・トンローの中古レコード屋

ミャンマーでは未だ近代化の途上にあるので、自国の文化を土着性からいったん切り離し、世界各地の文化状況を俯瞰しつつ、自国の文化的エスニシティやオリジナリティを再定義するというポスモダン的な文化運動はまだ興っていません。
分かりやすい例をあげると、タイでは地場資本によるサードウェーヴ・コーヒー・ショップが定着しつつありますが、ミャンマーでは今年スターバックスの一号店ができるのが話題になっています。こうした文化環境は、在緬外国人からすると、いささか刺戟に欠けるのは否めません。

そんなわけで、サブカル的な文脈でミャンマーがメディアで紹介されることは、これまで皆無と言っていいほどなかったのですが、何とこの特集号ではミャンマーのパンクロックについて言及したコラムがありました。クラッシュの代表曲「ロンドン・コーリング」が、ミャンマーでは替え歌「ヤンゴン・コーリング」となって演奏されていることが紹介されています。
このブログのタイトルも元ネタが「ロンドン・コーリング」なので、誰でも考えそうなアイディアではありますが。4、5年前にドイツ人が撮ったミャンマーのパンクロック・カルチャーを追ったドキュメンタリー映画も『YANGON CALLING』というタイトルです。




ファッションやサブカルを扱う雑誌にミャンマーが登場したのは、おそらくこれが初めてであることを考えると、けっこう歴史的なことかもしれません。
ちなみにヤンゴンでは、「Side Effect」というクラッシュそっくりの音像のパンクロックバンドが活動しています。ヤンゴンのフランス文化センターでライブを観たことがあります。

ミャンマーで発行している日本語フリーペーパーも、日系企業の動向や日本食レストランの開店情報を追うばかりではなく、こうした草の根的に活動するユース・カルチャーもフォローすればいいのにと思います。 パンクロックやヒップホップなどのムーブメントが、ヤンゴンのアンダーグラウンドな場所を舞台に、現在進行形で盛り上がっています。
音楽に限らず、ミャンマーの現代文学や現代アートなどもカヴァーしている日本語メディアがないので、現地の同時代カルチャーの分野は狙い目ではないでしょうか?
ミャンマーにおける村上春樹の受容のされ方などは、きちんと調査すれば比較文化論として興味深いものになると思います。例えば村上春樹の作品に影響を受けたアメリカの若手作家は少なくありませんが、ミャンマーでも同様の文学的な傾向が生じているのかなどを知りたいです。

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