2018年9月29日土曜日

ミャンマーは不況だというけれど

最近、ミャンマー国内は不況だという話をよく聞きます。
たしかに、3ヶ月前までは常に満席だった近所のビアステーションWin Starも、ここ1月ほどは週末でも八割くらいの客入りとなっています。

先日ブログにも書いた、ミャンマー初の屋内型ナイトマーケットのUrban Villegeはやはり一年を待たずに廃業したようです。先週、見に行ったところ、ゲートは閉鎖されたままで、特に工事や改築をしている様子はありませんでした。


ヤンゴン国際空港のボーディング・エリアがガラガラだという投稿がFacebookにも上がっています。


こうした不況は、海外投資の鈍化、ラカイン問題による欧米を中心とする観光客の減少、ミャンマー国内通貨のチャットの急激な通貨安などの複合的な原因に拠ります。
5、6年前のミャンマー投資ブームの時に、国際社会や海外企業のミャンマーへの期待が、おそらくそのポテンシャル以上に高まった時とは、市場のセンチメントが様変わりしました。

ただ、過去のミャンマー投資ブームの時に活況だった商取引は、不動産売買と輸入中古車売買がその中心で、安く仕入れたものを高く売るブローカー中心の投機的な鞘取りに関心が集まっていました。このようなバブル的な経済活動は、産業の高度化や、成熟され洗練された消費者層の形成には寄与しませんでした。
通貨安は輸出産業にとって好都合なはずですが、天然資源、農産物、労働集約的な縫製過程のみを請負う縫製工場以外に輸出部門を持たないミャンマーでは、現在の通貨下落は経済に大きな打撃を与えています。潤沢に外資が流入した5、6年前に、もの作りの基盤を整備して、国内消費を賄える分だけでも製造できる技術力と生産力を蓄えておけば事情は違ったはずです。今のように、スーパーマーケットで売っている商品の約八割が輸入品という状況だと、通貨安が物価上昇と消費停滞に直結します。消費材よりも高度な製造技術を要する生産材においては言わずもがなです。

しかしながら、過去のような投機的な経済活動で利鞘を稼ぐことが難しくなったことで、地に足が着いたベンチャー企業がミャンマーにも現れはじめたようです。こうしたベンチャー企業の多くは、20代、30代の若手経営者によって創業されています。

今月の『Myanmore magazine』では、こうした不況下で着実にビジネスの基盤を固めつつある若手起業家たちが紹介されていました。
人材マッチングのテックベンチャー、外国人旅行者をターゲットにする旅行会社、複数のカフェ・レストランを経営する外食産業のオーナーの三組です。


二人の姉妹により創業されたテックベンチャーのChate Satは、フリーランスの通訳・技術者などとクライアント企業を、マッチング・サイトとアプリを通じて橋渡しをしています。姉は元Huaweiのエンジニアだったとのこと。
不況下では、企業は人を雇用するよりもフリーランサーに外注する傾向が高まってくるので、現在の経済環境は追い風です。


外国人旅行者を主要な顧客とするPro Chitは、ラカイン問題でこれまで顧客の中心だった英米人の客数が二割近く減少したことで、マーケットをウクライナやリトアニアといった東欧にシフトしています。SEOを活用して検索エンジン上位に表示されるよう工夫したり、英文のブログでミャンマーの観光地を積極的に紹介することで、減少した従来のマーケットの穴埋めを図っています。


Rangoon Tea Houseの共同創業者のHtet Myet Oo氏は、より低価格帯で若者向けのレストラン・チェーンMr Wokとインターナショナル・スクール向けの学食Buthee事業を拡大しつつ、Rangoon Tea Houseのメニューを顧客の反応を確かめながら改訂したり、新しい料理を追加するなど、リピーターを離さない施策を地道に続けています。

2012年の年末にイギリスから帰国して、4年前にRangoon Tea Houseを開業し、一躍ミャンマー外食産業界の寵児となった現在28歳のHtet Myet Oo氏は「経済環境について不満を言うのは簡単だけど、そういうことを言う人は、景気は自分のやり方次第で良くもなるし、悪くもなるということを知らないのかもね」という内容のことをインタビューで語っています。


こうした記事を読むと、バブルに湧いた5、6年前よりも面白い若手起業家が現れてきて、産業界もタレントを輩出しつつあるように見えます。
現在の不況下は、投機的な経済活動には不向きですが、実業的な新規事業やテックベンチャーなどにとってはむしろ有利なような気がします。外資の流入が細り、競合も出てきにくい環境の上、ミャンマーには革新的な事業を興すアイディアやビジョンを持つ、資金力のある中堅以上の実業家がほぼいないので。

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