2020年12月30日水曜日

9年振りに日本で過ごす年末で、2020年を振り返ってみる

今年も残すところ一日となりました。
本当に思いもよらない一年となりました。
4月末に一時帰国して、せいぜい2、3ヶ月でミャンマーに戻るつもりでしたが、12月の末の現在になっても日本に留まっています。
航空便の運行状況も不安定で、いつになったらミャンマーに戻れるのかの目処も立っていません。当分日本でのバイト生活が続きそうです。
2011年にミャンマーに渡って以来、日本で年末年始を過ごすのは初めてです。

自分のブログを見直したら、3月8日にMakers Marketに出店したのが、ミャンマーで仕事らしい仕事をした最後の日でした。

今回のパンデミックで世界の様相が一変しました。突風で船の進路が大きく変わったり、新しいOSへの更新のためにコンピュータが強制的にリブートされたような感があります。
何らかの形で、今後、社会のあり方やシステムの変更を余儀なくされるでしょう。

書店に平積みされている本やAmazonのベストセラーをチェックしていても、そうした時代の気分がひしひしと伝わってきます。

   

いずれの著作も、グローバル資本主義あるいは新自由主義といった、今まで世界を駆動していたシステムの終焉、地球環境の保全、マルクス経済学の読み直し、コモンの再生、定常経済の試行といったテーマがそれぞれの切り口から論じられています。

そういえば私自身も4年前のちょうど今頃に、同様のテーマでブログに投稿しましたが、まさかこんな形で世界がリセットされるとは想像すらしませんでした。

おそらく経済的な意味でのフロンティアではないミャンマーが、フロンティアである理由 (3)

ざっと自分の書いた物を読み直しましたが、経験値や見識の差、文章の巧拙を別とすれば、問題意識の在り方は、上にあげた三冊とほぼ同じです。
なんらかの形で社会システムの変更を迫られていることは、かなり前から肌感覚で感じてましたが、今回のような形で無理矢理リセットされるとは予想もしていませんでした。

ニーチェが約100年前に「神は死んだ」と宣言したのは、産業革命以降、工業文明に移行した社会や経済のシステムの中で、中世の農耕社会の中で機能していたキリスト教は、最早ヨーロッパ人にとって生の意味を与える有効性を失ったためです。
ニーチェは、耐用年数を過ぎたキリスト教を棄てた後に人々が陥るニヒリズムを、鷲の勇気と蛇の知恵を備えた「超人」となって乗り越えろ主張しましたが、これは新古典派経済学が想定する合理的経済人、すなわち人は「自己の経済的効用の最大化」する独立した存在であるという人間観と通じるものがあります。
個人は野放図に自己利益を追求していいし、それは市場の「神の見えざる手」によって解決されるという世界観は、環境問題や格差の拡大を生み出し、見直しを迫られています。
個人の自由より世界全体の人権を重んじ、過去に抑圧されてきた人たちの真の社会的平等追求することが自分たちの『共同責任』」という意識が若い世代を中心に共有されつつあります。
そして、一周回って、現在の言論人や識者の共通のテーマとなっているのが「コモンの再生」です。

ここで参照したいのが、日本が生み出した宇沢弘文という「知の巨人」です。
環境問題、社会共通資本としのコモン、定常経済への移行、現在俎上にあがっている問題は、すべて宇沢先生によって30年前に論じられています。最近、きっかけがあって、宇沢先生の本を立て続けに読んでいます。

最初ににあげた三冊はベストセラーになっていますが、こうしたテーマに興味がある」人は、ぜひ本書も読んで欲しいです。
今になって急速に前景化している問題は、すべて宇沢先生によって30年前に予見されていたし、それぞれに何らかの処方箋が示されていることに驚かされます。

社会共通資本としてのコモンについては、本書をお勧めします。
自然資源(山、川、海など)、社会的インフラストラクチャー(交通、道路、水道、電気など)、制度資本(法律、教育、医療など)は、安易に競争原理を導入するのではなく、専門家と関係者により最適かつ平等に人々に行き渡るべきだと明快に論じられています。

今暇なので、つらつらと昔のことを思い出す機会が多くなりました。
そういえば、大学3、4年時のゼミの担当教授が宇沢先生の教え子だったと言ってたような記憶があります。当時は、学校でやってることにまったく関心がなかったので、ふーんと聞き流していました。何で俺あんなに勉強しなかったんだろう?、と今になって不思議に思います。
社会に出たことがないので、人間が織りなす世界の成り立ちとか、経済問題に興味がなかったからでしょうけど。

固い話になったので、今年になってよく聴いた音楽のことを書きます。
最近、イギリスのジャズが面白い。
西インド諸島にルーツをもつ移民のプレイヤーが多くて、レゲエやカリプソなど、アメリカのジャズにはあまりない要素が入っていて新鮮です。


今年にファーストアルバムをリリースした、Nubya Garcia。 いろんなメディアで、2020年の
ジャズのベストアルバムに選ばれています。

これはイギリスのジャズ・シンガー、Zara McFarlane。アメリカのジャズ・シンガーとは趣が異なります。 


そんなわけで、2020年も残すところあと一日となりました。
私は明日の大晦日はバイトです。
皆さん良いお年をお過ごしください。

【追記】(2021年1月4日)
2021年1月4日の日経新聞朝刊に、宇沢先生の再評価ムーブメントについての記事が掲載されていました。

昨年から今年にかけ、各界の第一人者が、それぞれの立場から宇沢が問題提起した「社会的共通資本」の今日的な意義を読み解く連続セミナーが開催されている。

宇沢経済学のメッセージ 「社会の幸福」、再考の時

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2020年12月2日水曜日

ミャンマーのゴスガールにワンピースを着てもらった

おそらく一年くらい前に、インフルエンサーになってもらいたいミャンマー人の女の子に商品を渡していました。
彼女はメイクアップ・アーティストで、ミャンマーではメジャーな映画やCMの仕事を手がけています。ミャンマー人では珍しいゴス系の子で、視覚的なインパクトも強いので、商品を着てもらったらどうかなと思い、イベントで会った時に似合いそうなワンピースを選んで渡していました。




鼻ピアスをして、バリバリにタトゥーが入った、一見威圧的な見かけの子ですが、中の人はミャンマー人らしい朗らかな子でした。
時間が経って、そろそろ忘れかけていたのですが、昨日になって着用写真を送ってくれました。


 

遠景過ぎて、服のディテールが分かりにくいですが、着用商品はこれです。
チェックのメンズ用のロンジー生地で作りました。




日本でバイト生活をはじめて半年以上経つと、ミャンマーで自分が何をやっていたのか、そもそもミャンマーに住んでいたことさえ定かでなくなってきましたが、久しぶりに思い出しました。
現状、いつになったらミャンマーに戻れるのか、戻ったところで経済活動ができるのかもわかりません。
とりあえず、バイト生活しながら気長に様子見するつもりです。
ブランドのコンセプトを変えようと思っていたところなので、リセットするのに良い機会だったと思うことにしています。

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