映画関係者のカンファレンスと、無料でフィルム映写による過去の名作が鑑賞できるというイベントです。主催はMemory Cinemaという映画フィルムの保護と映画文化の啓蒙を目的に設立されたNPOで、ミャンマーにあるフランス文化センターも開催にあたって協力したようです。
Memory Cinemaによる映画祭は3回目で、過去2回はカンボジアのプノンペンで開催されています。
さすがに無料とは言え、平日昼間から映画観れるほど優雅な身分でもないので、積極的に情報を追っていませんでした。先日、久しぶりに行ったヤンゴンの洋書屋Monument Booksに行ったら、パンフレットがあったので手に取ってみました。
中を開いてびっくりしました。
今回の映画祭のテーマは女性で、女性を中心にした映画50本あまりが選出されて、上映されているのですが、選ばれた映画がかなりマニアックです。
まるで、大学の映研とか美大生が選んだみたいなラインナップになっています。
ゴダール映画のシーンとミャンマー語の組み合わせがシュール
ゴダールの『女は女である』とか、フェリーニの『甘い生活』とか、ルイ・マルの『地下鉄のザジ』とか。『メトロポリス』や『裁かれるジャンヌ』 のような、映画史に残る無声映画も選ばれています。
日本映画も選出されていて、溝口健二『西鶴一代女』、今村昌平『人間蒸発』、宮崎駿『となりのトトロ』、加藤泰『緋牡丹博徒 花札勝負』の4本が上映されています。
おそらくフランス人が中心にキュレーションしてるので、ヌーヴェルバーグもしくはヌーヴェルバーグに影響を与えている、または影響を受けた作品が多く選出されているのでしょう。
よっ、お竜さん!
しかし、選ばれている作品がミャンマー人にはマニアック過ぎます。たぶんミャンマー人が観て喜ぶのは『となりのトトロ』くらいです。
私の知る限り、ミャンマー人には、人間の心の綾を巧みに掬いとった心理劇のようなタイプの作品に対する需要はありません。
観て喜ぶのは、派手なアクション映画か、単純明快なラヴストーリーです。また、ミャンマーでも、ディズニーとジブリの映画は、分かりやすいので人気があります。こうした作品は、観客に小学生がいることを想定して製作されていますから。
実際、いまヤンゴンの映画館で上映されている外国映画は、ディズニーの『トゥモロウランド』と『マッドマックス』です。ウディ・アレンの新作などは、ミャンマーの劇場ではかかりません。
啓蒙的な意図と芸術的な価値から、映画史に残る名作が選ばれているのでしょうけど、これは無料とはいえ、ちゃんと観客が動員できたのか心配になりました。
世界各国から50本あまりの映画のフィルムを調達して、ヤンゴンで上映するのは、かなりの準備が必要なはずですし、開催に際して、情報省などの関係省庁との調整などの作業量も膨大だったと思われます。
それだけ大変なことを実行するのなら、映画祭を盛り上げるために、ミャンマー人の嗜好も、ある程度は考慮に入れた方が良かったのではないかと思います。
ともあれ、フェリーニの『甘い生活』はフィルムで観たかったなぁ。
30年程前に福岡市西新にあった名画座で観て以来だもの。
もし、来年もヤンゴンで開催するなら、是非、行きたいですね。
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